地域別最低賃金改定の目安に対するコメント

令和3年7月16日
 
地域別最低賃金改定の目安に対するコメント
 
富山県商工会議所連合会
富山県商工会連合会
富山県中小企業団体中央会
 
 去る7月14日、中央最低賃金審議会において地域別最低賃金改定の目安が決定されたが、その目安がそのまま富山県に適用されれば、本県の最低賃金は、28円増の877円となり、3.3%の引上げとなる。
 
 この最低賃金については、2016年から2019年まで4年連続で3%台の大幅な引上げが行われ、日商の調査では、現状において過半数の企業が「負担になっている」と認識しており、特にコロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」の負担感は8割を超えている。また、引上げへの対応策として「設備投資の抑制」「一時金の削減」「非正規社員の採用抑制」などが挙げられており、その影響が心配されるところである。
 
 今回の審議会の決定は、東京に4回目の緊急事態宣言が発出されるなど、先が見通せない中で行われたものであり、明確な根拠が示されているとはいえない。むしろ、こうした影響の受ける業種については、強力な支援策とセットで出されるべきものであり、これなくしては、業況の悪化に伴い雇用調整をせざるを得ない場面も危惧されるところである。
 
 本来、賃上げは、生産性向上の成果を賃金として分配することであり、その分配率を向上させることにより、所得水準の持続的な向上が図られるものである。しかるに、今回は、生産性向上の成果が得られる前に分配を強制しようとするものであると言わざると得ない。
 
 政府におかれては、コロナ禍にあって、「事業の存続」と「雇用の維持」を最優先事項として懸命に努力している経営者に寄り添った最低賃金制度の運用に努めていただきたい。